エンゼルス大谷翔平に「新人王」をもたらした“米国人気質”《公式》
大塚和成です!!
日刊ゲンダイDIGITAL
エンゼルス大谷翔平に「新人王」をもたらした“米国人気質”
新人王に選出され、代理人のネズ・バレロ氏と握手する大谷(C)共同通信社
コラム【メジャーリーグ通信】
エンゼルスの大谷翔平がアメリカン・リーグの新人王となった。
成績だけを眺めるなら、新人王の有力な候補であったアンドゥハーとトーレスの「ヤンキース・デュオ」の方が、出場試合数、安打数、本塁打数、打点数のいずれでも大谷を上回っている。
それでは、なぜ大谷は2018年のアメリカン・リーグの新人王となれたのだろうか。
ここで見逃せないのが、アメリカ合衆国という国が持つ気風、気質だ。
米国は2026年に建国から250周年を迎える。だが、今も米国民の多くは自らの国を「若い国」と考えている。さらに、国土から物理的な開拓地が消滅した現在でも、創造的な事柄に取り組むことを肯定し、たとえ挑戦が失敗しても挑戦そのものの意義を高く評価する開拓者精神は残っている。
これまでマディソン・バムガーナー(ジャイアンツ)のように打撃が得意な投手や、点差が開いた試合で投手を休養させるために登板する打者はいたが、投打の両方で平均以上の成績を挙げた選手はしばらくの間、いなかった。そのため大谷が、現在の大リーグでは不可能と思われていた「二刀流を実現した開拓者」という印象を与えることになったのだ。
また、米国では新しいものを追い求めるとともに、過去もひときわ尊重する。4大プロスポーツだけでなく、学生スポーツでも多くの競技で「殿堂」を設けているのは、往年の名選手や優れた指導者の事績を顕彰し、後世に伝えようとする意欲の表れだし、選出された人物はサインを求められると色紙に「Hall of Famer」と書き添えて、“名誉の殿堂”の一員であることを誇りに思っている。
大谷の場合には、「ベーブ・ルース以来の」と形容されたように、誰もが知る野球の象徴であるベーブ・ルースが引き合いに出されたし、1920年に当時の大リーグ記録である年間257安打を放ったジョージ・シスラーが投手としても活動していた記憶を蘇らせた。
その意味で、大谷は歴史を好む米国の人々の価値に合う、「現在と過去をつなぐ選手」でもあったのだ。
そして、最後の重要な点は、人々の野球に対する考えを変えさせたということだ。
かつて満塁でも「本塁打を打たれるよりは」と敬遠されたバリー・ボンズは「野球のあり方を変えた」と言われたし、「内野ゴロでアウト」と思われた打球を安打にしたイチローは「野球の見方を変えた」と称された。それとともに、「投手と打者は別」というそれまでの常識を打ち破った大谷は「野球の可能性を変えた」選手であり、米国人の好む革新性を体現していたのだ。
このように考えれば、「ヤンキース・デュオ」ではなく、大谷が新人王となったのが当然であったことが分かると言えるだろう。
(アメリカ野球愛好会代表、法大講師・鈴村裕輔)
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